2020年7月3日にGPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)の
19年度の運用実績が発表されました。
結果は何と8兆2831億円の赤字。
一部のメディアでは、
国民の税金を投資なんかに使うからこうなるんだ!
と叩いていますが、本当にGPIFは私たちの税金を粗末に扱う機関なのでしょうか?
僕と一緒に事実を確認しましょう。
この記事では、
- GPIFとはそもそも何なのか
- これまでの運用実績
- ポートフォリオ
を解説し、我々の年金がどうなっていくかの考察をしていきたいと思います。
将来年金がもらえなくなるのではと不安に思っている人
税金を投資に使うなどけしからんと思っている人は是非読んでみて下さい。
この記事を読んで欲しい人
- 将来年金をもらえるか不安な人
- 税金を投資に使うのはけしからんと考えている人
結論:GPIFは堅実なポートフォリオで確実に運用実績を積み上げている優良機関

GPIFとは
GPIFの概要
GPIFは「Government Pension Investment Fund」の略で
日本語で言うと「年金積立金管理運用独立行政法人」のことです。
僕たちの税金の一部はこのGPIFに委託され、運用されています。

なんで投資なんて危ないことしてるの~?
投資に失敗して、年金無くなっちゃうの怖いよ~

このブログでも紹介しているけど、
投資は長期的に見れば安全に運用することができるんだよ。
投資の必要性に関しては下にまとめておくね。
年金を運用する理由
- 日本ではこの先労働人口がどんどん減って、税収のアップが望めないから
- 日本は超高齢化社会になり、多額の年金が必要になるから
今はまだ年金は不足していませんが、何もしなければ不足することは目に見えています。
そうならない為に、国は早い段階から対策をとっているということです。

危険なことをしているわけじゃないんだね~
長期投資の大切さは「投資信託の買いどきって存在するの?」でも解説していますのでよければご覧ください。

年金を運用しているのは日本だけじゃない

でも年金を投資しないといけないなんて、日本って凄くピンチなんだね~

実はそうでもないよ。いろんな国が、退職金や年金を運用しているよ。

え?そうなの!?
世界の年金基金について(日本以外)
- 世界年金(ノルウェー) 8931億ドル
- 連邦退職貯蓄(アメリカ) 4856億ドル
- 韓国国民年金公団(韓国) 4622億ドル
- ABP(オランダ) 4043億ドル
- 中国国家社会保障基金(中国) 3487億ドル
メディアはあまり取り上げませんが、
「年金を運用する」というのは世界では当たり前のことになっています。
確かに日本の運用額は大きいですが、危険な賭けに出ているわけではありません。
心配しすぎることなく、
国民として行き過ぎた投資方針に傾かないかという観点で見守りましょう。
GPIFの運用実績
2019年度の運用実績
2019年度のGPIFの運用実績です。


8兆円マイナス⁉
日本オワター/(^o^)\

年度末にコロナショックがあったから流石にマイナスだね。
このデータが2020年7月3日に公開されて、ちょっとした論争を巻き起こしました。
ただ投資についてしっかり理解しているなら、1年間だけの結果を見ればマイナスになる年もあることはわかるはず。
次に、GPIFができた2001年からのトータル結果を見てみましょう。
GPIFのトータル成績
2001年からのGPIFのトータル実績です。


57.5兆円も増やしたの⁉
すごーい!

GPIFって不景気になるたびに批判されているけど、しっかりと結果を残してきているんだよ。
GPIFはこの19年間で57.5兆円の収益を上げました。
これはGPIFに所属し、日々国民のために汗をかいている職員の努力の賜物です。
ちなみに、コロナショックが起きる前、つまり第3四半期までの運用は順調でした。
2919年12月末時点で9兆4241億円の黒字だったのです。
また、4月以降は相場が持ち直しているので、直近は黒字になっているという情報もあります。

では、しっかりと結果を残しているGPIFのポートフォリオがどうなっているのかをチェックしてみましょう。
※ポートフォリオが何のことかわからない人は「つみたてNISAにおけるポートフォリオの考え方」という記事を読んでみて下さい。

GPIFのポートフォリオ
公開されているポートフォリオ
正確にはアセットアロケーションですが、2020年3月末時点でのポートフォリオは以下のようになっています。


実は株式50%、債券50%という比較的低リスクな構成になっています。
これは
「年金財務上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定しているから」です。

とりあえず、たくさん儲けよう!って方針じゃないんだね~
このように、目的に応じた最適なポートフォリオを組むことで、
余計なリスクを負うことなく、目標額を達成できる確率が高まります。
自分のポートフォリオを迷っている方は、GPIFを参考にしてみるのも一つの手です。
気になるGPIFの投資先

結果を残しているなら、是非とも知りたいのは投資先ですよね。
そんなあなたのために、しっかりと調べました!
国内株式保有銘柄 トップ10
- トヨタ自動車
- ソニー
- 日本電信電話
- キーエンス
- KDDI
- 三菱UFJファイナンシャル・グループ
- NTTドコモ
- ソフトバンクグループ
- 武田薬品工業
- 任天堂
外国株式保有銘柄 トップ10
- MICROSOFT CORP
- APPLE INC
- AMAZON.COM INC
- FACEBOOK INC-CLASS A
- ALPHABET INC-CL C
- ALPHABET INC-CL A
- ALIBABA GROUP HOLDING-SP ADR
- JOHNSON&JOHNSON
- VISA INC-CLASS A SHARES
- NESTLE SA-REG
もちろん、このそれぞれ10社に集中投資をしているわけではありません。
日本、外国それぞれ2000銘柄以上に分散投資をしているので、
くれぐれも上位10社ずつマネすることで、利益を得ようなどとは考えないでください。
僕たちの年金はどうなる?
少なくとも100年は大丈夫
先ほど少し触れましたが、GPIFのポートフォリオは運用利回り1.7%を目標に作られています。

運用利回りが低く設定されているのは、GPIFが運用している積立金は現役世代が減ってきてから取り崩しを行う予定だからです。
勘違いされがちですが、今の高齢者に払われている年金は
- 現役世代が負担する保険料
- 税金
の2つで主に賄われており、積立金はほとんど取り崩されていません。
GPIFの運用している積立金は
人口が多い時期に無理のない範囲で増やし、現役世代が減っていけば徐々に取り崩していく予定です。
具体的には取り崩しの段階になれば、
年金財源の20%に充てられ、約100年後に無くなるような計算になっています。

私たちがおばあちゃんになる頃には年金はもらえなくなるかも~って思ってた!
これなら子供の世代も安心だね。
ただし、年金だけじゃ暮らしはきついかも

でも、年金だけで暮らしていけるほど甘くはないから注意してね。

え、なんで⁉
年金は働いていたときの年収全てを補填するものでは当然ありません。
またセーフティネットとしての位置づけが強く、国民全員が豊かな老後を過ごすための仕組みでもありません。
では気になるのが
「どれくらいの年金を貰えそうなのか?」
ということですが、これは「所得代替率」を知ることである程度予想ができます。

所得代替率とは、受け取れる年金が現役時の収入の何%かというものです。
平成26年時点では所得代替率は62.7%でした。
つまり、月平均20万円の手取り収入の人は12.54万円の年金が貰えるということです。
今後はこの所得代替率は40~50%になると言われています。

今の半分しかもらえないなんて、おなかすくよ~

そうならない為にも、若いうちからしっかり自分でも投資をしておこうね!
まとめ:年金はなくならない。けど自分でもしっかり資産運用をしておこう。

以上、GPIFのポートフォリオと運用実績の紹介でした。
お疲れ様でした!
この記事のまとめ
- GPIFは年金の積立金を運用している公的機関
- これまでに57.5兆円の利益を出していて、マスコミが言うようなダメな機関ではない
- 世界的に年金を運用するのは当たり前の時代
- ポートフォリオは株式50%、債券50%と大人しめ
- 今後少なくとも100年は年金は無くならない
- 今の生活水準を保ちたいなら、若いうちに資産運用を始めること
これからもメディアに踊らされることなく、しっかりと未来を見据えた行動をしていきましょう!
この記事を見て、資産運用の必要性に気づいた方は「資産を増やす方法まとめ 【投資超初心者向け】」を読んでみて下さい。

基本の基本から説明しています。
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